
以前、所属しておりました手づくりエッセイ誌制作のサークル。数年前に残念ながら諸事情で解散することとなってしまいましたが、その時にごいっしょしておりましたNさんとRさんとは、自宅も近場でしたため、時々お茶をしたりと今でも仲良く交流させてもらっております。
お雛様をこよなく愛するNさん。日本各地に存在するその地域ならではの様々なお雛様を鑑賞しに出かけられ、独自で文献もまとめられていらっしゃるお雛様研究家の方です。収集されましたお雛様を、お雛祭りの時期にご自宅に飾られ、お客様をお呼びして公開する活動もされており、私も何度かお伺いさせてもらいました。Nさんの収集された華やかなお雛飾りが並ぶ中の楽しいお雛祭りのひと時。小学生くらいの女の子の気分に戻れたような…。もしや若返りに効果あり?(笑)お雛飾りにはそんな不思議な力も宿っているようです。
Rさんもごいっしょその会に伺っておりました一昨年、Rさんのご実家にも、おばあ様が購入されご実家のお母様がそれを引き継ぎ、毎年丁寧に飾られていらっしゃる昭和初期からの七段飾りのお雛様があるとのお話をされました。「皆さんがいらっしゃったら母もとても喜ぶと思うので、次のお雛祭りの時期にはぜひとも私の実家に見に来てください。」との嬉しいRさんからのお誘い。ということで昨年のお雛祭り会は、NさんとともにRさんのご実家へ。初めてそのお雛飾りを拝見してきました。
赤い毛氈の段が八畳のお座敷半分くらいをしめるほどの大迫力!そこを埋め尽くす昭和初期からのあじわい深い七段飾りお雛飾りに大感動!\(◎o◎)/Rさんのお母様を囲んで昔娘だった?(笑)4人で、楽しいお雛祭りのひと時を過ごしてまいりました。
Rさんご実家のお雛飾りは、当時お住まいのあった岩手の花巻にて、Rさんのおばあ様が昭和初期にお求めになられたとのこと。現代ではあまり見かけることがない日本のおとぎ話由来のお人形さんや、名場面に登場する伝説歴史上の人物のお人形さんも共に雛壇に飾られている、とても珍しいお雛飾りです。受け継がれましたRさんのお母様は、それらのお人形さんにまつわる由来をノートに記載されており、ひとつひとつ丁寧にその内容を私たちにお話してくださいました。
今年も昨年に引き続き、Nさんとともにお声掛けをいただき、先日ちょっと早めのお雛祭りのひと時を、Rさんのご実家で楽しく過ごしてまいりました。
花巻ご出身、笑顔の素敵なRさんのお母様も変わらずお元気そうで安心いたしました。なんと今年数えの米寿を迎えられるとのこと。お体これからもどうぞお大事に…。またごいっしょお会いできますことを心より楽しみにしております。<2016.2.29>
*素敵なRさんご実家のお雛飾り。私のブログをご覧いただいております方々にもぜひともご紹介したく、その旨を、Rさん、Rさんのお母様にお話しましたところ、快くご承諾していただきました。また、このお雛飾りの文献をすでにまとめられておりましたお雛様研究家のNさんからも一部その文献を参考にさせてもらう旨のご承諾もいただけました。お心遣い、誠にありがとうございました。
*続きを読むをクリックしますと、続きのフォトブログを読むことが出来ます。ご覧いただけますと嬉しいです。

1/ お雛飾りの一番上の段、向かって左側には、享保雛の面持ちに近いお内裏様とお雛様。鶴が舞っている後方の金屏風も優雅さを醸し出しており、とても素敵です。

2/ 同じく一番上の段、向かって右側にも、左右対称、もう一対のお内裏様とお雛様が飾られておりました。左側のお雛飾りより、もう少し年代が新しい大正から昭和の時代のものでは…と、拝見しましたNさんの文献に記されておりました。後ろの屏風も華やかな色合い、もっと装飾的になっているようです。

3/ 八咫烏<やたがらす>に導かれる天皇の祖である神武天皇のお人形。八咫烏はサッカージャパンのシンボルマークにもなっております三本足の伝説の霊鳥です。

4/ 八幡神の母にあたられる神功皇后のお人形。荒れすさんでいる朝鮮半島に身重ながらも出兵。半島の鎮静に尽力。戦いを終え帰還後にご出産。<左がその赤ちゃんとお付の方?>なんとも勇ましい古事記由来の伝説の皇后様です。

5/ 日本人でしたら知らない人がいないというくらい歴史上の超有名人、弁慶法師のお人形。主君、源義経をお守りしながらともに北帰行を続けた伝説は東北各地に存在しております。豪傑力持ちをイメージしての大鐘担ぎポーズ!あっぱれ!おみごと!

6/ 二段目真ん中にはお雛様にお仕えする三人官女。品のよい面持ちは私好み。お雛祭りに華を添える定番のお人形さんたちです。

7/ 三条小鍛冶宗近(平安期の刀匠)を手助けするお稲荷さん<白狐>の化身である美しい娘のお人形。ともに力を合わせて勅命の剣を造り上げ、それからお稲荷さんは鍛冶屋を営む者たちのの神様になられたとのこと。

8/ 江戸城を築城したことで名を派した室町後期の武将、太田道灌氏の<山吹の枝>伝説の逸話を基にしましたお人形。

9/ 鎌倉が滅んだ南北朝時代、騒乱の中、息子正行との最後の別れである<桜井の決別>をイメージして作られました【楠正成公】のお人形。私情よりも主君に尽くすことの大事さをスローガンにしていました明治大正昭和初期。「青葉茂れる桜井の~♪」で始まる唱歌<大楠公の歌>を、お人形のお話をしながら、お母様も口ずさんでおりました。

10/ <ご~にんばやしのふえたいこ♪>雛人形界にはかかせないアイドルといえばこの五人囃子のお人形たち。楽器をあやつるそれぞれの手さばきはとても優雅。耳を澄ませば雅楽の音色が聞こえてきそうです。

11/ 五人囃子の右横には白馬に跨る勇ましい桃太郎さんのお人形。まわりのお人形よりも大きく迫力がありました。定番の猿、犬、キジのお供がいないのがちょっと寂しい^_^;

12/ お雛様方の警護担当、右大臣&左大臣のお飾りも上段のお内裏様とお雛様のように右に一対、左に一対飾られておりました。こちらは向かって左側のお人形。

13/ こちらは向かって右側の右大臣&左大臣のお人形。当時の大臣たちは自ら弓矢を持ち、身を張って命をかけながらご警護をされていたのですね。

14 /向かって左に橘の花実の置物。

15/ 向かって右に桜の花木の置物。

16/ 雅楽の舞の演目のひとつだったのでしょうか。桜(桃?)の花の下、蝶の花をまとい楽器の<つつみ>を奏でながら舞い踊る【胡蝶の舞】というお人形も飾られておりました。好みの色合い。実際の演目も機会がありましたら拝見してみたいです。

17/ 鎌倉時代末期の武将、【児島高徳氏】のお人形。恥ずかしながら、お母様から聞かせてもらいますまでまったくその名を知らず…お話も初めてでした^_^;主君の後醍醐天皇がその座を追われ囚われの身となり、島に流されることとなったことを高徳氏が知った時には、すでに天皇をお助けすること時遅く…。泣く泣く断念し、天皇のご一向の宿舎近くにありました道傍の桜の木の幹に<天はけして帝をお見捨てにしない>という意味の漢詩を彫り込み、そこをお通りになられた天皇を励ました【白桜十字詩】というお話を基にしたお人形とのことでした。

18/ こちらは右大臣左大臣の部下たち?警護も雑用もこなす縁の下の力持ち。けっこうイケメンのお付き三人衆。

19/ 北条氏率いる鎌倉幕府を滅亡に追い込んだ立役者の一人、【新田義貞】氏のお人形。宝剣を海に投げ込み、その海を司る竜神様を鎮め海を真っ二つ!(モーゼのごとく^_^;)そこに出来た道を進み勝利したという、茅ヶ崎、稲村が崎につたわる伝説は有名。お人形は今まさにその宝剣を投げ入れんとしているところとのこと。

20/ お母様のお話によりますと【おさわと彦一】というタイトルのお人形だっかたかも…とのこと。ネットで調べましたがなかなか詳細わからず…。お人形は、目の見えないお琴を弾く娘と頭をまるめた男の子の姿。<お琴><目のみえない娘>で検索しましたところ、谷崎潤一郎の小説【春琴抄】というワードが出て来ました。お人形さんはその小説が世に出ました昭和初期の品…果たしてこのお人形さんの真相はいかに…。

21/ 日本昔話の大定番【花咲か爺さん】のお人形-1。<ここ掘れわんわん♪>のフレーズが聞こえてきそうなお座りワンちゃん、とってもキュート。

22/ 【花咲か爺さん】のお人形-2。<枯れ木に花を咲かせましょう♪>のフレーズが聞こえてきそうな枝にお座りのお爺さん。両手離していて落ちそうで心配(笑)

23/ これまた日本昔話の大定番【舌切り雀】のお人形。舌を切られてしまった雀を介抱した良いお爺さんが雀のお宿でもてなしを受けた後、宝の入った小さい方のツヅラをお土産にもらって帰るところでしょうか。娘姿の雀のお人形、華やかながらもちょっとシュール^_^;印象深くお気に入りのお人形です。

24/ またまた日本昔話の大定番【浦島太郎】のお人形。まだ玉手箱を開ける前、乙姫様から頂いた直後の場面。<ということはまだ浦島さんは海の中?>よく見かける乙姫様像は中国伝来?奈良時代風の衣装なのですが、このお人形は平安の貴族の雅な姫君の様…。

25/ 華やかな花魁とその酒席に呼ばれ上機嫌の男のお客様のお人形。赤い毛氈上に、突然現実的な世界登場(笑)コミカルな空気感がらも、様々な面を持つ人間世界の奥深さも感じさせられるお人形さんです^_^;

26/ お雛飾りの下の段にはたくさんのミニチュアサイズの調度品。造られた方の技術力に脱帽。本物そっくりの素晴らしい品々が並んでおりました。

27/ こちらはお飾りものというよりも、お雛祭りを楽しむお子さんたちが直接手に取って遊びたくなるようなかわいいミニチュアうつわ。

28/ すでに立派に成人されておりますRさんの息子さんが幼稚園時代に創られた紙粘土のお雛飾り。ほほえましいそのお人形さんもいっしょに飾られておりました。お孫さんの幸せを願い大事に思うRさんのお母様の温かな思いが伝わってきました。

29/ Rさんご実家の素敵なお雛飾り。個々の人形にまつわるお母様のお話、とても興味深く楽しく伺わせてもらいました。お雛飾りを初めにお求めになられたお姑さんの思い。そしてそれを今に受け継がれているお母様とRさんの思い。関わられた方々の思いと、それらにまつわる様々な思い出が、年月を経て重なり合っていかれたからこそ、今現在のあじわい深く心豊かなお雛飾りの姿となっているのかもしれません。

30/ Rさんのお母様を囲んでのお雛様飾りのレクチャー内輪のワークショップも無事終了。Rさんとお母様が雛祭りのおもてなしに、甘酒<アルコールなしです>と美味しいお菓子をご用意してくださいました。

31/ 私は、古くからの仙台っ子にはたまらない【宮城野(元の杵屋)】のカスタードケーキのお土産を持参。Nさんは京都の銘菓【鼓月】のこの時期限定の桜風味の和菓子をご用意してくれました。
お雛祭り感満載でしたのでそのパッケージを頂く前にパチリ。こちらはお持ち帰りの品となり、自宅にて後で美味しく頂かせてもらいました。ご持参頂きましたNさんに心より感謝です。

32/ Rさんのお母様はもうひと品、美味しい【道明寺】をご用意してくれておりました。深川製磁の赤い貝形皿との素敵なコラボ。頂く前にこちらもパチリ。

33/ ご実家のお庭も拝見。2月末ながらも小春日和。まだ芽吹きも少ない時期ですが、赤い椿と山茶花の花がお庭を彩っておりました。

34/ さてさて、所変わって我が家のお庭。梅の木に痛みが多く秋の剪定時期にかなり量を刈り込むこととなり、なんと以前の半分、とても小さなサイズとなってしまいましたが、負けずに今年も元気に白い花を咲かせてくれました。

35/ ひとつしかない我が庭の椿は、この<乙女椿>という種類。うす桃色の八重のかわいい花が咲きます。だいぶ蕾も膨らんできましたが、咲きだす時期まで暖かさまだ足らず…。
明日から弥生3月。花粉飛び交う季節の始まりです。<ああ、今年はスギ花粉あまり飛びませんように(*_*)>
季節の変わり目、皆様もお体どうぞお大事にされてお過ごしくださいね。<2016..2.29 うるう年>
Nです (木曜日, 10 3月 2016 16:33)
ミホさん、改名されてのお仕事スタート、おめでとうございます。
新たな気持ちでますます充実したお仕事になりますよう、期待して応援させていただきます。
ブログ再開、待っていました。それにしても、見事なお雛様鑑賞記、素晴らしいですね。
とても詳しい説明で、感動も蘇りました。ミホさんのお雛様好きが伝わって来ましたよ。
お雛様には、それぞれに守り続けて来たお宅の女性たちの気持ちのこもった物語があり、そこに思いを馳せると多くのことを語りかけられるといつも感じます。
楽しいお雛まつりでしたね。素晴らしいご報告をありがとう。
かわむらみほです。 (土曜日, 12 3月 2016 19:00)
Nさん。このたびはお忙しい最中、mihotブログへのご訪問、誠にありがとうございました。お雛様愛好家&研究家であるNさんからの心温まる励ましのコメント*Rさんご実家の素敵なお雛祭り会をごいっしょしておりましたNさんも、このブログを楽しんでいただけたとのこと*とてもうれしく拝見いたしました。今期のお雛祭り時期も、ある地方へ取材の旅にお出かけされていたとのこと。お雛様詣での楽しい旅のお話*またお会いしました時にお聞かせくださいね。今後ともどうぞ宜しくお願いいたします(^_^)*