act.77 伊藤若冲展<福島2019>行って来ました。


福島民友新聞PR&2019若冲展リーフレット
福島民友新聞PR&2019若冲展リーフレット

 1950年代のニューヨーク。父親の仕事を引き継いだばかりの若かりしジョー・D・プライス氏が、交流していた建築家フランク・ロイド氏に連れられ共に立ち寄ったマジソン街の古美術店。東洋美術にまったく興味がなかったプライス氏が、なぜか不思議と一目で虜となったのが、葡萄を描いた一枚の水墨画でした。その作者こそが、江戸中期活躍しながらも本流ではなかったため、長年歴史に埋もれてしまっておりました、京都の天才絵師<伊藤若冲>。その水墨画作品とプライス氏との偶然の出会いの種が、再びこの現代に作品を蘇がえらせ、今ではその名を知らない人を探す方が難しいくらい、素晴らしく大きな復活の花を咲かせることとなりました。

  その後も<若冲>の作品に魅せられ続け、彼を中心とする江戸時期の日本美術の研究を重ねながらコレクターとなられましたプライス氏。コレクションを初公開された【没後200年 伊藤若冲展】<2000年 京都国立博物館>、好評を博しました【若冲と江戸絵画展】<2006年 東京国立博物館>を皮切りに、その後も<若冲>作品を中心とするコレクションを次々と発表、日本美術の普及に多大なる功績を残されました。

 

 2011年3月、未曾有の大震災がこの東北の地に襲いかかりました。哀しみに苛まれた被災地の様々な姿に心を痛められたプライス氏。「同じ天明の大火という大災害を越えた<若冲>の作品が、被災された方々の大きな励ましの力になれるのでは…」その思いが実を結び、 2013年、東日本大震災の復興を祈念した【「若冲が来てくれました」展】が、福島を中心に宮城、岩手にて開催されました。

 2016年、2回目の東京展示後、「再び<若冲>作品をこの福島で!」の熱いコールが県民の中から沸き上がり、2019年のこの春、前回と同じ会場である福島県立美術館にて【東日本大震災復興祈念「伊藤若冲展」】を開催される運びとなりました。

 

以前、NHKで放送されたプライス氏と<若冲>作品を扱ったTVドキュメンタリー。(たぶん震災後2013年の巡回展あたりかと…)それを偶然目にするまで【伊藤若冲】の名を聞いたことがあるかないかぐらいのとても情けない知識状況でした。(ああ、なんて勉強不足…(*_*;)そのドキュメンタリーを拝見後、自身の思いと<若冲>作品の世界感に愛着と不思議な共通項を感じ、遅かりしではありましたが、掲載している本や画像映像、メディアを通し様々な作品を拝見させてもらっておりました。

 

 斬新かつユーモア溢れる大らかなデフォルメ作風、かと思いきや、今にも画面の中から命の鼓動が聞こえてきそうな彩り豊かな動物細密画作品あり。デジタル風升目技法や筋目描き技法など、独自の表現を自由奔放に試されながら 日々制作活動に励まれていた<伊藤若冲>。それらの表現を邪道と言われながらも悠然毅然と超えてゆく力強さ。青物商である実家の家督、市場存続の問題、晩年近くに被災された天明の大火など、襲い掛かる様々な試練に心乱されながらも、変わらず粛々と画業をこなしていく逞しさ。作り手が同一人物と思えないほど、持ち味豊かな<若冲>という人物の世界感を知れば知るほど興味を持ち、いつかは本物の作品を時下に感じてみたく思っておりました。

 

  2019年春、再び福島の地に来てくれました<若冲>の作品たち。今期は水墨画作品が中心とのこと。初期の見逃しは仕方ないとしても、その後の2013年福島展、2016年東京展は、自身の展示準備も入っている多忙な時期とちょうど重なってしまい残念ながら涙を飲みました。「今期こそは見逃さないぞ!」意気込み通じて体調万全 ♪ 天気も快晴*ああ、神様ありがとう!GW10連休の大混雑もなんのその*お隣り県にある会場、福島県立美術館まで足を運んで来ました。

 

Miho.K<2019.5.10>

*続きのフォト日記、下記に掲載しました。合わせてご覧ください。

 

 


①待望の福島開催【伊藤若冲展】へ。少し雲はありますがほとんど晴天。ゆったり運行<新幹線やまびこ>から吾妻山を望む。そろそろ福島駅に到着。


②福島駅到着。すでに葉桜の4月末でしたがホームは満開*桜の花びらディスプレイがお出迎え。


③福島駅構内。ほんとうに久しぶりのお伺い。


④構内に飾られていた福島駅社員からの「ようこそ*福島へ」メッセージ。<令和>に時代は代わりデジタルワールド全盛ですが、やはり人の手を介した手書きの文字は心に響き温かい。


⑤ベース黄色がテーマ色の今期【若冲展】ですがこれは初めて。浅葱色と黄土色等ナチュラルな色合いを組み合わせた落ち着きのある配色。こでデザインも素敵だな。福島駅内展示パネルで会うことが出来ました。


⑥久しぶりの福島交通鉄道線。終点は飯坂温泉駅*そこからとって愛称が【いい電】。なんと開通は大正10年とのこと!かなりの古株。鉄道ファンの中でもしやけっこう有名な存在?2016年導入のかわいい新車両がちょうどやって来ました。


⑦にっこりかわいいロゴ看板に迎えられ、始発の電車に乗り込みました。福島駅から福島県立美術館近くの美術館図書館前駅まで二駅乗車。車内はやや混み。GW真っただ中*皆様の目的地は終点の飯坂温泉かな?


⑧美術館図書館前駅で下車。5分ほど歩くと福島県立美術館の入口に到着。久しぶりのお伺い。福島市のシンボル緑豊かな信夫山の麓に広がる美術館棟と前庭の佇まい。レンガ造りのような落ち着いた棟の色合いが青空に映えてとても素敵です。


⑨今回展示のテーマ色 黄色い<若冲展>看板がお出迎え。


⑩さすが10連休中。ロビーの中の大混雑ぶりはまるで東京の美術館のごとし。少し前の新聞記事には来場者数7万人超えと発表されておりました。受付で頂きました地元の新聞<福島民友>PR版を見ながら、待望の<若冲>作品と会える会場へ。


⑪今期みどころのひとつは<にわとり尽くし> 鶏に興味を持った<若冲>はたくさんの鶏を自宅の庭で飼育。観察を重ねながら日々写生に励まれ、数えきれないほどたくさんの鶏の作品を生み出しました。スケッチ風の速筆水墨画あり。精密に描かれた着彩画あり。大型の屏風絵あり。国内外に散りばめられていた<若冲>作の鶏さんたちが今期会場所せましと勢ぞろい。コミカルだったり。シリアスだったり。はたまた劇画調だったり (笑)描かれる表情からそれぞれの性格を読み取り人に合わせて想像する楽しさよ。変幻自在、愉快な鶏さんたちをたっぷり味わうことが出来ました。

<美術館ロビー内「鶏図」印刷看板より抜粋>


⑫今期のメインビジュアルに選ばれました「百犬図」。<若冲>晩年に手掛けられた着彩画の傑。様々なポーズや表情が愛らしく会場でも一番の人気の人だかり。明るく元気な命の増殖パワーを頂きました。 <美術館ロビー内「百犬図」印刷看板より抜粋>


⑬枯れかけた弱々しい筆跡で描かれた蓮のすぐ横、ささやかながらも力強く直立している蓮のつぼみ。老年期に遭遇した天明の大火という逆境にありながらも凛と希望を忘れず自身の画業を歩まれていた<若冲>。その生きざまを凝縮したような蓮作品も展示されておりました。対面された方々は、この作品から湧き上がるメッセージに勇気をもらい励まされ、これからの元気の素を多々受け取ることが出来たことかと。

<美術館ロビー内「蓮池図」印刷看板より抜粋>


300年前を生きた方の隔たりを感じなさせない<若冲>作品。今回展示のテーマ文「若冲はわれらと同時代人である」に共感多々。10連休の人々かき分け美術館に伺ってほんとうに良かった♪ 素晴らしい福島展示2019年の【伊藤若冲展】でした。次回日の本展示はいつの日か。また出会える嬉しいひと時を楽しみに。


⑮【いい電】上り線に乗って戻って振り出しの<福島駅>。到着したのは昼下がり越えの午後3時。これからランチ出来るところ果たして福島エキナカあるのかな?


⑯ランチタイム内のお店を福島エキナカに無事見つけ、やっと一息。お腹も満足。心地よい窓辺外の青葉を眺めながら食後の美味しいコーヒーも楽しみました。


⑰窓外、黄色い<若冲>展看板発見!テーマ色の黄色は元気になる明るいビタミン色。


⑱食事を終えて駅外に降りてみたら、そこここあふれる黄色い<若冲>展フラッグ。街路樹の新緑に映えてとても華やかな街並みに。期間中掲げられていたこれらの黄色いフライヤーたちも福島の方々の大きなビタミンパワーになっていたかと。


⑲駅前に設置されております福島出身の音楽家、昭和の歌謡界で大活躍されました【古関裕而】さん像のオルゴール時計。ピアノの椅子に座られている古関氏のにっこり笑顔を見つめていたら、突然その像から 楽し気な音楽が流れ始めました。時計を見たらちょうど午後4時 、偶然にびっくり!これは運気大好調 ♪ この方がモデルに描かれることが決まりました来年のNHK朝ドラを楽しみに。


⑳【伊藤若冲展】で今回久しぶりにお伺いしました福島県立美術館。自然豊かな信夫山麓に佇む心地よい空間*日帰りながらも癒されました。<美味しい館内レストランは今期大混雑で残念無念>素敵な企画がありましたら、またぜひともお伺いしたく思います。

今回は連休混雑さけての日帰り電車旅でしたが、次回は車でゆったり名所や果樹園等も寄りながら。飯坂温泉付きかどうかはその時期の懐具合…いやいや今から500円玉貯金始めようかな…(笑)

 

<フォトは福島駅前にこちゃんマークの可愛いパンジー花時計>

<Miho.K 2019.5>